京都大学大学院法学研究科附属 法政策共同研究センター

menu

センター長挨拶

京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター長挨拶

令和3(2021)年4月、京都大学大学院法学研究科による学際的・国際的な法政策研究の拠点として、法政策共同研究センターが設立されました。

本センターは、科学技術の進歩、急速なグローバル化や地球環境の変動などに伴って生じる社会システム全体のパラダイムシフトに対応するために、先端的な法政策課題について理論と実務が協働して学際的・国際的研究に取り組み、誰一人取り残さない、人間を主体とするイノベーションの実現を支える法政策構想を提案するとともに、新しい学術領域の開拓とその独創的な担い手の養成を目的としています。

本センターには、共同研究のための基本組織として、「人工知能と法」、「医療と法」、「環境と法」、「少子高齢化社会と法・政治」の4つのユニットが置かれています。また、「法文化国際研究」、「政策実務教育支援」の2つのセクションに加えて、令和6年4月には、「文理融合実証研究」セクションを新たに設置して、従来の法学・政治学の伝統的な研究領域に収まらない先端的な研究や、人文科学や自然科学の諸分野との学際的研究を、法律・行政の実務家、学内他部局、学外あるいは外国の研究機関等と連携して実施しています。

現在、人工知能と法ユニットでは、アジャイル・ガバナンスの考え方に基づき人工知能技術の社会実装に向けた法制度に関する国際的研究を進めており、G7広島サミットのデジタル・技術大臣会合の下のタクス・フォースにおいて“Governance Principles for a Society Based on Cyber-Physical Systems”の取りまとめを主導するなどの成果を挙げています。また、医療と法ユニットも、令和5年4月に発足した医学研究科附属医療DX教育研究センターと連携して、医療DXの実現に必要な医療情報法制に関する共同研究を実施するとともに、令和6年4月に開設された医学研究科附属ヘルスセキュリティセンターとの共同研究に着手します。さらに、令和5年10月には、少子高齢化社会と法・政治ユニットを立ち上げ、少子高齢化問題に関する国際的な共同研究を進めているほか、令和6年4月に環境と法ユニットの専任教員が着任し、本格的に学際的な共同研究を推進します。

また、セクションについては、文理融合実証研究セクションは、データサイエンスや実験社会科学の手法を用いた学際的な共同研究を駆動し、法政策研究の実証的な基礎を提供することを目指すものであり、令和6年4月に担当教員2名が着任しました。法文化国際研究セクションでは、ウィーン大学、マックス・プランク外国私法・国際私法研究所やチューリッヒ大学等との国際共同研究を推進しています。

このように、本センターは、科学技術の発展等が社会にもたらす先端的な法政策課題について、社会の各方面と協働して学際的・国際的研究を推進し, 国際ルール・国際標準の構築等に向けて先導的な役割を果たしていきますので、本センターの活動へのご協力、ご支援を宜しくお願いいたします。

土井真一(京都大学教授(法学系 大学院法学研究科)、法政策共同研究センター長)

センター長紹介

土井真一(京都大学法学系(大学院法学研究科)教授、憲法)

主な研究領域は、個人の尊重と包括的人権・適正手続、及び法の支配と司法権・憲法訴訟である。包括的人権保障との関連で、生命に対する権利やプライバシー権についても研究を行ってきた。主な研究業績として、「国家による個人の把握と憲法理論」公法研究75号(2013年)『注釈日本国憲法(2)』(共著、有斐閣・2017年〔憲法第13条〕)、『憲法適合的解釈の比較研究』(編著、有斐閣・2019年)、『注釈日本国憲法(3)』(共著、有斐閣・2020年〔憲法31条など〕)等がある。