京都大学大学院法学研究科附属 法政策共同研究センター

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長島・大野・常松法律事務所及びNO&T Data Lab株式会社との連携協定締結記念シンポジウムを開催しました。

〇シンポジウムの趣旨
 京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター(以下「本センター」)は、令和61216日に、長島・大野・常松法律事務所及びNO&T Data Lab株式会社(以下「NO&T Data Lab」)との間で、企業コンプライアンス等の実証的な共同研究に関する連携協定を締結しました。これにより、理論と実務との連携及び最先端の学際的研究を通じて、企業不正や組織風土のメカニズムを解明し、企業不正の予防・是正、ありたい組織風土の実現のために必要な施策の分析・開発等を目指します。
 この連携協定の締結とNO&T Data Lab株式会社の設立を記念して、令和7212日にシンポジウムを開催いたしましたので、その概要を掲載いたします。 

〇テーマ
「ガバナンスを科学する―実証的アプローチを活用した組織風土のデザイン」 

〇日時
2025212日(水)1400分~1900 

〇会場
JPタワー ホール&カンファレンス(KITTE丸の内4階) 

〇登壇者
 土井真一教授(京都大学大学院法学研究科、本センター長)
 稲谷龍彦教授(京都大学大学院法学研究科、本センター・「人工知能と法」ユニットリーダー)
 淺井顕太郎教授(京都大学大学院法学研究科、本センター・文理融合実証研究セクションマネージャー)
 藤原総一郎弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
 眞武慶彦弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
 深水大輔弁護士(長島・大野・常松法律事務所、NO&T Data Lab代表取締役)
 渡辺翼弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
 志村佳名子氏(株式会社IHI)
 植松正史氏(株式会社日本経済新聞社)

〇プログラム
14:0014:20 ご挨拶
 登壇者:藤原総一郎氏、土井真一教授
14:2015:00 講演「エフォートベースからエビデンスベース へ」
 講師: 深水大輔氏
15:0015:40 講演「企業文化を科学する学際研究からのアプローチ」
 講師: 稲谷龍彦教授
15:40~16:00 休憩
16:0016:40 講演「ガバナンス強化のための統合的アプローチ実証と実験に基づいた提案」
 講師: 淺井顕太郎教授
16:4517:45 パネルディスカッション「ガバナンスを科学する」
 モデレーター: 深水大輔氏
 パネリスト: 稲谷龍彦教授、眞武慶彦氏、渡辺翼氏、志村佳名子氏、植松正史氏
17:4518:00 質疑応答
18:0019:00 レセプション 

〇概要
 近年、コンプライアンスにも適切に取り組んでいると見られていた大企業でも不正・不祥事が発覚し、また、経営者側が懸命に色々な施策を講じても現場が改善されない事例も少なくありません。これらの原因の一端は、従来、企業風土・組織文化と呼ばれてきた信条や認知の癖のようなものにあると見られます。
 昨今の認知科学・経済分析・心理学等の目覚ましい発展により、これらを効率的に分析し対処するための手掛かりがあるにもかかわらず、企業がそうした学術的知見にアクセスできていないのが現状です。そこで、本シンポジウムでは、認知科学・心理学・経済分析等を活用するとどのようなデータからどのような分析が得られるかについて具体例を交えた講演が行われ、それを受けたパネルディスカッションにおいても現状の問題点や今後の研究ニーズ等について活発な議論が行われました。全体を通して、企業からも積極的にデータを提供していただき、学術的知見に基づく調査・助言を行っていくことで、企業風土、ひいては企業のコンプライアンスやインテグリティを改善し、適切なガバナンスと競争力を兼ね備えた企業を社会に送り出していくことが、この連携協定の目指すところであることが確認されました。
 当日は、様々な企業の法務担当者を中心に150名を超える方にご参加いただき、レセプションを通じて活発な交流が行われました。