京都大学大学院法学研究科附属 法政策共同研究センター

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国際共同研究

法政策共同研究センターの国際共同研究活動

本センターは、先端的な法政策課題について学際的・国際的共同研究 を行い、国際的議論を主導する法政策構想を提案し、新領域の開拓とその独創的な担い手の養成を推進することを目的としています。そのため、以下のように外国研究機関と連携して国際共同研究を推進するとともに、国際的競争力のある若手研究者の育成を重要な柱としています。

外国研究機関との連携

本研究科は、2008年にマックス・プランク外国私法・国際私法研究所(ドイツ)と部局間学術協定を締結して以来、フランクフルト大学(ドイツ)をはじめ、現在12の法学政治学系部局・国際機関と学術協定を締結し、国際共同研究の基盤を構築してきました。特に世界的な比較法研究所であるマックス・プランク研究所とは、各種の助成金を得て、多様な分野の若手研究者を交えて活発に共同研究を行い、成果を発表してきています。本センターも、マックス・プランク研究所と連携するほか、ウィーン大学(オーストリア)、チューリッヒ大学(スイス)、カーディフ大学(イギリス)、オーストラリア国立大学(オーストラリア)、ニューヨーク大学(米国)、ミシガン大学(米国)、英国国際法及び比較法研究所等と連携する予定です。

国際共同研究の推進

本センターでは、最先端の法政策課題である「人工知能と法」「医療と法」「環境と法」「少子高齢化社会と法・政治」について、以下のように国際的共同研究を推進し、セミナーやシンポジウムでの発表や論稿の公表等を通じて、研究成果を発信します。

(a)人工知能と法ユニット AIを搭載した自律的な機器と人間との協調動作について、カーディフ大学とは工学・実験心理学の観点からの共同研究を、オーストラリア国立大学とは経済学・ガバナンス理論に関する共同研究を行います。また、ウィーン大学、チューリッヒ大学及びニューヨーク大学のご専門家からは、デジタル社会に即した法制度設計についてご助言いただきます。

(b)医療と法ユニット 2020年夏には、マックス・プランク研究所と協力して新型コロナウイルス感染症感染拡大への法的対応に関するシンポジウムを開催した実績があり、2021年末からは英国国際法及び比較法研究所とも共同研究を行っております。今後も連携を強化して国際共同研究を推進し、ウィーン大学の専門家とも医療政策と法に関する共同研究を行います。

(c)環境と法ユニット 越境汚染の問題について、国連環境計画国際環境技術センター、アジア大気汚染研究センター等と連携して検討を行います。

(d)少子高齢化と法・政治ユニット 国内外の大学・研究機関と連携しつつ、学問分野横断的に少子高齢化にかかわる問題を分析します。ウィーン大学との共同セミナーでの発表等を通じて、研究成果を発信します。

若手研究者の国際化

本研究科では、若手研究者の国際化を重視しており、国際競争力のある大学院生教育を行ってきました。特にウィーン大学法学部とは、毎年交互に京都又はウィーンにて共同セミナーを開催し、大学院生に外国語での発表の機会を与え、国際的な人材の育成に貢献してきています。

法文化国際研究セクションマネージャー紹介

西谷祐子(京都大学大学院法学研究科教授、国際取引法・国際私法)

本学部及び本研究科修士課程を修了した後、ハイデルベルク大学(ドイツ)にて博士号取得。東北大学准教授及び九州大学教授を経て、2015年から本研究科教授。ドイツ(DAAD及びフンボルト財団奨学生)、米国(フルブライト奨学生)、フランス、イタリア、オランダにて長期在外研究。デューク大学(米国)、ニューヨーク大学(米国)、ケルン大学(ドイツ)(予定)、ルーバン・カトリック大学(ベルギー)、チューリッヒ大学(スイス)、ローザンヌ大学(スイス)、ブレッシャ大学(イタリア)、テルアビブ大学(イスラエル)、ヘブライ大学(予定)、台湾法官学院(台湾)の客員教授を歴任。

2023年5月からハーグ国際法アカデミー副会長。国際比較法アカデミー正会員、ケンブリッジ大学家族法センター連携委員。ハーグ国際私法会議による複数の作業部会に日本代表として派遣されてきたほか、多数の国際共同研究プロジェクトに参画してきた。1998年ハイデルベルク大学・ゼーリック賞、2020年フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞。

単著として、

  • 『Mancini und die Parteiautonomie im Internationalen Privatrecht – Eine Untersuchung auf der Grundlage der neu zutage gekommenen kollisionsrechtlichen Vorlesungen Mancinis –』 (Carl Winter-Verlag, 2000)
  • 『Identité culturelle en droit international privé de la famille』(Recueil des cours de l’Académie de droit international de La Haye, Vol. 401 (2019), pp. 127-450)

共著として、

  • 『Japanese Private International Law』 (with Kazuaki Nishioka) (Hart Publishing, 2021)

(共)編著として、

  • 『Japanese and European Private International Law in Comparative Perspective』(with Jürgen Basedow and Harald Baum) (Mohr Siebeck, 2008)
  • 『Treatment of Foreign Law – Dynamics towards Convergence?』(Springer, 2017)
  • 『Choice of Law in International Commercial Contracts: Global Perspectives on the Hague Principles』(with Daniel Girsberger, Thomas Kadner Graziano, Jan Neels and others)(Oxford University Press, 2021)
  • 大谷美紀子・西谷祐子編著『ハーグ条約の理論と実務:国境を越えた子の奪い合い紛争の解決のために』(法律文化社、2021年)
    ほか。

現在の研究テーマは、現代国際私法の課題とトランスナショナル・ガヴァナンス、グローバル法多元主義の位相、国際家族法における個人のアイデンティティーと人権、子の奪取に関するハーグ条約の理論と実務、ビジネスと人権及び気候変動における企業の責任、国際的な知的財産及びプライバシー保護など。