京都大学大学院法学研究科附属 法政策共同研究センター

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教育活動

法政策共同研究センターと法科大学院の教育

法科大学院(法学研究科法曹養成専攻。以下「本法科大学院」といいます。)は、21世紀初頭の我が国の司法制度改革・法曹養成制度改革の趣旨に則り、2004(平成16)年度に創設された専門職大学院です。理論と実務を架橋する高度な教育を通じて、法の精神が息づき、法の支配の理念に立った自由で公正な社会の実現のため、様々な分野で指導的な役割を果たす創造力ある法曹を養成することをその使命としており、法理論科目のほか、多彩な実務科目を開講するために、研究者教員のみならず実務家教員が多く教育に携わることが大きな特徴となっています。

本法科大学院の授業科目を担当する実務家専任教授4名と法科大学院特別教授6名の全員が本センターの政策実務教育支援セクションに所属しています。実務家専任教授は元裁判官3名及び現役検事1名であり、法科大学院特別教授6名は現役裁判官3名及び弁護士3名です。さらに、いずれも弁護士である1名のフェローと6名の客員教授も本センターの同セクションに所属し、法科大学院での実務教育に当たっています。

これらの実務家教員は、深い学識と豊富な実務経験に基づいて裁判実務、検察実務、弁護士実務、先端的法実務等の各分野の多数の授業科目を担当しています。授業において学生とのインタラクティブなやりとりを通じて実務家としての範を示すことはもちろんですが、授業以外でも、先輩法曹としての経験や思いを率直に語ったり、進路についての相談に親身に応じたりすることを通じて、創造力ある次代の法曹の育成に力を尽くしており、修了者の方々からは、実務家教員の先生方にとてもお世話になったという声をよく聞きます。このように、本センター所属の実務家教員は、全国の法科大学院の中でも質・量ともにトップクラスの法曹と法学研究者を輩出してきている本法科大学院の教育にとって、なくてはならない存在となっています。また、研究者教員についても、本センターの学際・国際共同研究セクションに所属する教授が、本法科大学院で各専門分野の授業を担当するなどしています。

本法科大学院からは、法曹養成専攻長(法科大学院長)が本センターの運営協議会のメンバーになるなど、本センターと本法科大学院とは密接な協力関係を構築することが想定されています。今後、本センターの活動が本格化するにつれて、本法科大学院との関係はいっそう強まり、教育面はもちろんのこと、研究面でも連携関係が形成されることが期待されます。

法政策共同研究センターと公共政策大学院の教育

公共政策大学院は、法学研究科と経済学研究科の協力の下に2006(平成18)年度に創設された専門職大学院です。創設時より理論と実務の架橋による高度専門職業人の育成をその使命としており、研究者教員のみならず実務家教員が多く教育に携わることが大きな特徴となっています。

法政策共同研究センターには、公共政策大学院の授業科目を担当する実務家教員の一部が所属しています。現在、本センター政策実務教育支援セクションに所属する有馬裕客員教授と武藤浩客員教授が、それぞれ公共政策大学院において「国際政治と日本外交」「国土交通行政のプロセス」を担当しています。いずれも、実務家ならではの視点や経験に立脚した授業として、受講学生から好評を得ています。また、研究者教員についても、本センターの学際・国際共同研究セクションに所属する待鳥聡史教授が「公共政策論A」と「現代アメリカ政治」を、協力教員であるヒジノ・ケン・ビクター・レオナード教授が「Professional Writing」を担当しています。

さらに、本センターと公共政策大学院とのつながりを考えるに当たり、これらの科目担当と並んで重要なのが、全国市町村国際文化研修所(JIAM)から本センターが協力研究員を恒常的に得ていることです。JIAMは公共政策大学院との関係が創設時から深く、JIAM教授でもある実務家が公共政策大学院特別教授として多くの授業を担当してきただけではなく、JIAMと公共政策大学院の連携セミナーも毎年開催されています。それに加えて、本センターにJIAM教授が協力研究員として所属することで、本センターを拠点として地方自治実務に関する教育研究が進められています。

同じ京都大学法学系に属する組織として、公共政策大学院長(あるいは副院長)が本センターの運営協議会メンバーになるなど、本センターと公共政策大学院は密接な協力関係を構築することが想定されています。今後、本センターの活動が本格化するにつれて、公共政策大学院との関係はいっそう強まり、教育面はもちろんのこと、研究面でも連携関係が形成されることが期待されます。

政策実務教育支援セクションマネージャー紹介

本多俊雄(京都大学法学系(大学院法学研究科、附属法政策共同研究センター)教授、民事訴訟実務)

京都大学法学部を1982年に卒業した後、司法修習を経て1984年4月に判事補として任官し、2020年3月に退官するまで、約36年間裁判実務を経験しました。在任中は、京都、大分、大阪、名瀬、東京、金沢などの各地の裁判所で勤務し、高松、神戸の裁判所で所長を務め、最後は大阪高等裁判所部総括判事を務めました。

退官後、2020年4月から、本学に実務家教員として勤務しています。裁判官として各種裁判や司法行政を担当しましたが、民事裁判を担当した期間が最も長く、本学法科大学院においても実務経験を踏まえた教育活動に専念し、基幹科目の「民事訴訟実務の基礎」と実務選択科目の「民事裁判演習」等を担当しています。

これらの科目を担当するにあたって、理論と実務を架橋するという観点から、法科大学院生に対し、要件事実、民事訴訟手続や事実認定等についての基本的な知識を修得させ、民事紛争を解決に導くために不可欠の実践能力を涵養して、その基礎固めをするとともに、紛争に向き合う実務家の姿勢やマインドを考えさせる機会を与えるように努めています。

主な論文等としては、「使用者責任」民事要件事実講座4民法Ⅱ(青林書院2007年)253頁、「大阪地裁(本庁)における民事執行事件の概況」民事法情報244号(2007年)18頁、「大阪地裁建築・調停事件における現況と課題」判例タイムズ1381号(2012年)62頁、「論点9 保証」債権法改正と家庭裁判所の実務(日本加除出版2019年)143頁、「民事調停手続に関する基本問題」和解・調停の手法と実践(民事法研究会2019年)29頁などがあります。