CISLP 京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター

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京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター
人工知能と法

研究ユニット
人工知能と法

研究の背景

急速に発展する人工知能技術の社会実装は,少子高齢化への対応や環境負荷の軽減等が深刻な社会問題となりつつある我が国において,喫緊の課題とされています。例えば,政府の提唱する「Society 5.0」においては,IoTと人工知能技術とを活用し,サイバー空間とフィジカル空間を融合させることにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する,人間中心の社会が目指されています。もっとも,IoTや人工知能が人に与える影響の統制や,これらが生み出す新たなリスクのマネジメントなどの新たな法的問題への取り組みも求められています。

研究内容

人工知能と法・プロジェクトイメージ 本ユニットでは,人工知能システムのリスクマネジメントを研究テーマとして,人工知能搭載機器と人とが協調動作する場面において生じる事故の法的責任分配原理に代表される,人工知能の社会実装に伴って生じうる様々な社会的課題に関する研究プロジェクトを遂行しています。認知心理学者,ロボット研究者,文化人類学者と共同で,自律的に機能する機器が人の主体性感覚及び注意に与える影響と,自律的に機能する機器と人との協調動作時に生じた事故に関する人々の非難感情とを心理学的実験及び文化人類学的調査を通じて把握し,自律的主体としての人間を法的責任主体として措定してきた既存の責任法の限界を見定め,人工知能時代に即した責任法のあり方を提案することを目指しています。また,同様の実験及び調査を英国でも実施することにより,人工知能搭載機器の位置付けやその社会的受容性をめぐる日英比較を行い,グローバルに通用しうる人工知能法制のあり方についても研究しています。他にも,人工知能を利用した企業のガバナンス及びコンプライアンスシステムのDX化に関する問題や,Society 5.0における新しいガバナンスシステムの実装に向けたシステムエンジニアリングと法に関する研究課題なども,今後取扱っていく予定です。

ユニットリーダー紹介

稻谷・ユニットリーダー 稲谷龍彦(京都大学法学系(大学院法学研究科)教授,刑事学)

専門はグローバル企業犯罪対応及び先端科学技術と刑事司法。理化学研究所AIP客員研究員及びIPA DADCアドバイザリーボード兼任。経済産業省『Governance Innovation』報告書(ver.1 & 2)の起草に関与。本ユニットの研究に関連する主要な業績として,『刑事手続におけるプライバシー保護–熟議による適正手続の実現を目指して』(弘文堂 2017年),「技術の道徳化と刑事法規制」(松尾陽編『アーキテクチャと法』(弘文堂 2017年)第4章),「人工知能搭載機器に関する新たな刑事法規制について」法律時報91巻4号(2019年)54-59頁,「ポスト・ヒューマニズムにおける刑事責任」(宇佐美誠編『AIで変わる法と社会』(岩波書店 2020年)第6章)などがある。